人生を振り返り最後に感謝を伝えるベタ語。
二人で過ごした時が、困難であればあるほどベタ度が上がる。また、残された側の後悔の念を感じれば感じるほどよく使用される。
『用例』
妻は、青白い顔で病床についていた。
夫も、青白い顔で彼女を見つめる。そっと、空に放たれた彼女の手を握る。
妻は、何かを言おうとして口をパクパクする。
夫:「なんだ?」
妻:「覚えてる?はじめてデートした時のこと。」
夫:「あぁ。覚えてるよ。井の頭公園でボートに乗ったね。僕は、うまく漕げなくてね。君が結局漕いでくれたんだよね。」
夫は、涙をこらえるように顔をくしゃくしゃにして笑った。
妻:「そう。そうだったわ。でも、楽しくてしょうがなかった。あなたに出会えていい人生でした。」
妻の手から力が消え、青白い顔には静かな微笑みが浮かんでいた。
(Posted by Bevel)